女性活躍推進の本番はこれから (前編)女性活躍推進の流れと当面する課題とは

コラム&インタビュー

「女性定着」推進期(平成初期~半ば)

第2フェーズは、平成の初期から半ばまでの「女性定着」の推進期です。平成の初めのバブル経済の崩壊で就職氷河期へ突入したため、弱含みではあったものの、女性の採用比率拡大が進み、出産・子育てなどのライフイベントに対応した労働環境づくりも進められました。

これによって、昭和50年代初期には女性の年齢階層別就業状況がⅯ字カーブ(20代中盤から30代にかけての急激な落ち込みとその後の回復を表す)を描いていたものが、平成の10年、20年と徐々に台形カーブに変化し今日に至っています(【図2】参照)。結婚・出産による不本意な退社をせざるを得ない状況が、改善されてきた様子がうかがえます。

【図2】

「女性活躍」の推進始動期(平成半ば~後半)

その後の第3フェーズが、平成の半ばから後半にかけての「女性活躍」の推進始動期です。この時期から、女性が企業に長く在籍し続けられるだけでなく、仕事での活躍支援や管理職登用促進のための施策も取られ始めました。

働きやすい労働条件の整備に加えて、配属や役割付与、出張、人事異動、転勤などでも個々人の希望や事情に配慮がされるようになり、活躍に向けての前提条件が次第に整えられるようになりました。そして、第2フェーズで大量採用されたボリュームゾーンの女性世代が30代から40代になり始め、中堅として力をつけ、管理職予備軍が徐々に一定の層を成してきました。

「女性活躍推進」本格化への時期(平成の終わり~令和)

そして第4フェーズが、平成27年の女性活躍推進法の成立から令和の今日に至る「女性活躍推進」の本格化をめざす時期です。同法によって、国・地方公共団体、大企業には、自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析や、その課題解決のための数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知、そして自社の女性活躍に関する情報公表などが義務付けられました(中小企業は努力義務)。また、平成30年の働き方改革関連法の成立によっても、女性活躍の機会は増しているかに見えます。

しかし冒頭でもお話したように、管理職になることが活躍と同義ではないとはいえ、実際には女性活躍は十分なものとは言えません。この第4フェーズにおける課題は何か、またその真因は何なのでしょうか。