若手社員を「自燃」させ、早期育成・戦力化を目指す独自の育成施策とは?/サッポロホールディングス㈱-前編

コラム&インタビュー
サッポロホールディングス株式会社
ビールを中心とした酒類事業を展開するサッポロビール株式会社、食品飲料事業を担うポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社、各種飲食店を経営する株式会社サッポロライオン、不動産事業を担うサッポロ不動産開発株式会社などを傘下に持つ純粋持株会社として、2003年にサッポロホールディングス株式会社が誕生。サッポログループでは、すべての従業員を会社の宝である「人財」と位置づけており、一人ひとりが個々の強みを最大限に発揮し、主体的なキャリア形成ができるよう、グループ各社で各々の事業特性を踏まえた支援を実施している。

日々の仕事を消化する中で、自らのキャリアパスを見失わないように支援することが大切

2018年10月に厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、2015年入社の大卒新入社員の3年以内の離職率は31.8%に上るという。売り手市場と呼ばれる採用難の中、相応の採用コストを投じ、やっとの思いで新入社員を迎え入れるという企業も少なくない。さらに、彼らを一人前に育成するためには、入社後も研修をはじめとした育成プログラムの開催、定期的な面談の実施など、様々な育成施策を打つ必要がある。しかし、そうして手塩にかけて育てた社員たちが3年経たずして、辞める。

離職理由の中でも代表的なのが、「理想と現実のギャップ」だ。これから始まる社会人生活に対して、夢を抱きながら入社するも、希望の部署への配属が叶わなかったり、目の前の業務に追われたりと、思い描いていた理想とかけ離れた現実を目の前にする。すると、今の会社でのキャリアパスを見失いはじめ、モチベーションが下がっていってしまうのだ。

そんな若手社員の実情をふまえ、サッポロホールディングス人事部・キャリア形成支援グループリーダーの渋谷氏は、若手社員にキャリアの選択肢を示すことは重要だと話す。

「弊社では、自らの担当業務に一生懸命向き合う真面目な若手社員が多いです。しかし、あまりにも目の前の業務一辺倒になりすぎると、視野が狭まり、周りの先輩・上司の仕事ぶり、他部署・本社の仕事などが視界に入らなくなってしまう。今後のキャリアの選択肢の一つになり得る、ロールモデルや希望の部署・仕事などが見えていないと、数年先のキャリアを描くのが難しくなる恐れがあります。本来、若手社員の多くは『この事業に携わりたい』『この部署で働きたい』という夢を抱いて入社してきます。せっかく夢を抱き、会社に期待して入社したのだから、日々の仕事の中でその夢を見失わないよう支援したい。したがって、まずはキャリアの選択肢や可能性を示し、今後のキャリアを描くサポートをすることが大切だと考えています」