女性活躍推進の本番はこれから (前編)女性活躍推進の流れと当面する課題とは

コラム&インタビュー

これまでの女性活躍推進の流れを振り返る

働き方改革関連法の施行もあり、企業は育児期の女性をはじめ多様な人たちにとって「働きやすい職場環境の整備」に向けた対応を急ピッチで進めています。一方で、数年前まで喧伝されていた2020年までに指導的立場の女性を30%にするという政府目標はあまり取沙汰されなくなりました。ほぼ未達に終わりそうだからです。社会の関心は高齢者雇用や外国人雇用に移っているようにすら感じます。

しかし、女性の活躍推進の本番はこれからであり、乗り越えるべき新たな壁も登場しているのが現実です。そこでまず、近年の日本の女性活躍推進の流れを大きく4つのフェーズ(時期)に区切って振り返りながら、働く社会の現在地と未来に向けた課題を確認していきましょう(【図1】参照)。

【図1】

「男女平等」推進期(昭和50年代~平成初初頭)

第1フェーズは、昭和50年代から平成の初めまでの時期で、「男女平等」の推進期と言えるでしょう。これは、昭和60年制定・翌61年施行の男女雇用機会均等法に象徴されます。同法は、募集・採用時の男女の均等取り扱いや、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇などでの女性の差別的取り扱いの禁止などを定めたものです。
それ以前の時期は、今では信じがたいことですが、女性は一人暮らしや高学歴であることを理由に民間企業への就職が困難になっていました。採用されても、職場の主戦力とは見なされず、「寿退職」(結婚退職)までの腰掛け、サポート要員であることが一般的でした。

キャリア意識が高く長く活躍したい女性は、公務員を目指すか外資系企業やベンチャー企業などしか選択肢がないと考える人もいました。そこで、こうした差別的状況を改め雇用面での男女平等を浸透させようとした段階と言えます。