なぜ、彼らは銀行を去ったのか?~実際に銀行を離職した若手社員の声から早期離職防止のヒントをつかむ~

コラム&インタビュー

人気が低迷する銀行業界

HR総研が実施した「2019年卒学生就職活動動向調査」の「最も敬遠したい業界」において、長年トップだった「外食」に代わり、「メガバンク・信託銀行(26.4%)」が1位にランクインした。次いで「外食(24.6%)」、3位に「地方銀行・信用金庫(18.3%)」が並んでいる(※文系学生の数値)。メガバンク・信託銀行と言えば、数年前まで「最も就職したい業界」のランキング上位だったのだから、驚きである。

人気低迷の背景には、銀行業界をとりまく様々な環境変化が挙げられるだろう。少子高齢化・人口減少による経済の縮小はもちろんのこと、決済・送金手段の多様化により、銀行業界だけでなく異業種間での競争も激化するばかり。さらに、AIの台頭により、窓口対応・問い合わせ対応などの業務は、積極的に人工知能やロボット等への置き換えが進んでいる。その潮流を受け、三菱UFJ銀行が約6,000人の人員削減、みずほフィナンシャルグループがグループ全体で1万9,000人の削減を発表したニュースは記憶に新しい。

採用が厳しい環境だからこそ、食い止めたい新入社員の早期離職

そのような背景から、銀行業界においても採用活動が厳しさを増している。さらに、今は未曽有の「売り手市場」時代。銀行業界で働く若手行員は、「地頭が良い」「顧客志向がある」といったイメージもあり、異業種の企業から見ても魅力的な人材として映ることが多い。若手行員にとって異業種への転職をしやすい環境が整っているのだ。採用活動が困難を極める中、新入行員の早期離職防止に向けての対応が急がれる。

それでは、なぜ彼らは早期離職してしまうのだろうか? 売り手市場の就職活動の中、新入行員の多くは、自ら選んで銀行業界に入行していると考えられる。また、銀行業界では、入行後の待遇や福利厚生なども整備されているだろう。今回は、その疑問を解明すべく、実際に地方銀行・信用金庫を早期離職した二名に当時の本音を聞いた。