若手社員を「自燃」させ、早期育成・戦力化を目指す独自の育成施策とは?/サッポロホールディングス㈱-後編

コラム&インタビュー
サッポロホールディングス株式会社
ビールを中心とした酒類事業を展開するサッポロビール株式会社、食品飲料事業を担うポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社、各種飲食店を経営する株式会社サッポロライオン、不動産事業を担うサッポロ不動産開発株式会社などを傘下に持つ純粋持株会社として、2003年にサッポロホールディングス株式会社が誕生。サッポログループでは、すべての従業員を会社の宝である「人財」と位置づけており、一人ひとりが個々の強みを最大限に発揮し、主体的なキャリア形成ができるよう、グループ各社で各々の事業特性を踏まえた支援を実施している。

あくまで主役は現場の若手社員たち。「自燃型」人財育成のためには、彼ら自身の主体性が最重要

キャリアの選択肢を提示し、自分のキャリアビジョンの視野を広げる越境プロモータープログラムのほかに、もう一つ、サッポロビール独自の施策がある。「SAPPORO白熱Labo」(以下、白熱Labo)だ。2017年にスタートした白熱Laboでは、事業所ごとに10代~20代の若手社員が集まり、「会社の中で興味のある業務・仕事」「やってみたい施策・取り組み」を幅広く出し合い、その中から一つのテーマを決定する。そして、そのテーマに沿って、お互いの思いや考えを本気でぶつけ合いながら、ディスカッションを進行。最終的には、そこから導き出した一つの答えを、目に見える形・アウトプットに落としていく。

白熱Laboは、若手社員たちのモチベーションを高め、「自燃型」人財を増やすことを目的としている。自燃とは、「情熱という心の火をまわりの人からつけてもらうのではなく、自らつけて燃える」こと。サッポロビールでは、「自燃型で成果を出せる人財の早期育成で人財力No1企業へ」という人財育成ビジョンを定めており、白熱Laboの取り組みは同社のビジョン達成の一翼を担っているともいえる。若手社員たちが関心のある、挑戦したいテーマに本気で取り組めることで、モチベーションが向上し、「自燃型」人財へと近づいていく。それが本施策の狙いだ。そして、モチベーション向上を支援するためには、本人たちの「主体性」を重んじることが大切だと、渋谷氏は言う。

「人事部が施策を強制してしまうと、社員たちがやらされ感を抱いてしまいます。あくまでも主役は現場の社員たち。人事部は全国の取り組み事例を共有するなど、各事業所同士をつなぐ『ハブ』の役割を務めることが重要だと考えています」