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副業促進をどう捉えるか?(後編)~社員を囲い込まず、「福業」で越境支援できる企業がイノベーションを起こせる~/編集長・前川孝雄の「人が育つ現場論」

前編では、社員個人の立場から、副業を前向きに捉え活用することによって自らのキャリアビジョンを実現していく可能性が高いことを見てきました。これを踏まえ、後編では経営・人事の立場から副業をどのように捉え促進していくことが望まれるかを考えてみます。

これも結論を先に言うなら、第一に、今後企業は社員のキャリア支援に正面から向き合い、その一環で副業を促進していくこと、第二に、副業等による社員の成長を通して組織のオーペンイノベーションを目指す視点を持つことが大切です。それでは以下、その背景や理由などを見ていきましょう。

企業には社員のキャリア自律支援の力が問われる

以前のコラム「新入社員のリテンションマネジメントを考える」でも触れましたが、新入社員の会社への期待の最上位にあるのは「自らの成長が期待できる」ことです。各企業とも新入・若手社員の確保とリテンションマネジメント(離職防止と定着支援)が大きな課題となるなかで、注目すべきでしょう。新入・若手社員はこの会社で自分のキャリアの将来像を描くことができること、またそれに向けて成長する機会が持てることを求めています。「就社」ではなく「就職」の意識で企業を選択している新入・若手社員は、優秀な層ほど今の会社にその可能性がないと見れば躊躇せず転職を選ぶでしょう。

まだ仕事のイロハも判らないうちに拙速だと批判することは簡単です。しかし、人生100年時代に企業の平均寿命より長期間働く世代です。もはやお互いに終身雇用を確約し合えない関係のなかで、企業への見方はシビアで敏感です。企業はこうした世代のキャリアビジョンづくりに正面から応えなければいけません。その際には、社内に囲い込み社内で活用するという狭い発想での対応はもはや成り立ちません。あくまでも本人の中長期のキャリアビジョンづくりと実現に寄り添う姿勢で、職場でその力を最大限に生かし育てていく視点が大事です。

また、別のコラム「ミドル・シニア社員のキャリア自律とは?」で論じたミドル・シニア社員への対応も今後の大きな経営課題の1つですが、ここでもキャリア自律支援の視点が不可欠です。70歳までの雇用保障の論議も始まっていますが、40~50代から役職定年、定年、再雇用等の時期に至るミドル・シニア社員の活躍支援を考えることが目前の課題です。できるだけ早期から本人の経験を棚卸して強みを明確化し、弱みを補強する自己啓発やリカレントなどへと導くキャリア自律支援の取り組みが重要です。

こうした社員の活躍支援、キャリア自律支援にとっての副業の意義、効用については前編でも述べていますので、改めて再確認してください。

社内副業で組織内イノベーションを促進する

企業が社員の副業を促進する意義のもう一つは、オープンイノベーションの促進です。その際に、副業促進の一歩手前のいわゆる社内副業の取り組み動向が参考になります。

大手商社の丸紅では、2018年度から社内副業とも言える「15%ルール」制度を導入して話題になりました。これは、社員が担当業務か否かに関わらず、勤務時間の15%を新たな事業や業務プロセスの企画立案に向けた活動に用いることを認めるというものです。そのねらいは、社員一人ひとりが自発的に全社的なリソースを活用して、担当の業務や商品事業枠などを超えたイノベーションの創出や業務改善を促すものです。世界的な総合商社ならではの発想と取り組みとも見られがちですが、狭い担当業務や部署の壁を取り払い、幅広い社内のリソースや機会をフル活用し、社員個人の可能性と能力の幅を広げながら企業の革新・成長を目指す視点は多くの伝統的な大企業に通ずるものです。

実は、こうした社内での社員による自発性と創造性の発揮をねらいとする取り組みは、既にGoogle 、Yahoo! 、HP、3Mなどでも実績があります。Googleも「20%ルール」として、社員は業務時間の内の20%を自分の好きな新規事業立案にあてて良いというもの。かのGmailやGoogleマップ、Googleニュースなどの画期的サービスはこの制度から生み出されたと言われています。

次ページ>>「シェアオフィスでオープンイノベーションの種を探す」

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