もはや「建前」を改める時
一方で心ある実習先企業や関係者の親身な受け入れ・育成によって成果を上げている事例もあることでしょう。実際に、親のようなあたたかさで異国からやってきた若者を抱きしめる経営者がいることも知っています。しかし、実際の数字に表れている実習生の失踪や在留資格取り消しなどの実態、また期限付き実習という仕組み自体の矛盾を見ると、同制度の限界は明白です。
今は、小手先で外国人労働者の単純労働に門戸を広げる入国管理法改正を行い、矛盾する技能実習制度を残存させているのが実状です。政府は、こうした現状を十分に把握し本質的な制度見直しや課題解決を果たすべきです。私は、みんなが幸せになるために、もはやこうした建前と本音を使い分ける施策は一切改め、真正面から外国人労働者を受け入れる仕組みを真剣に考える時だと思います。
次回の本コラム後編では、この問題をどう捉え対処していくべきか、企業の人事や人材育成のあり方の面からも考察していきたいと思います。
前川 孝雄 (株)リクルートで「リクナビ」編集長等を経て、2008 年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に(株)FeelWorks設立。約400 社で「人が育つ現場」づくりを支援。2017年に(株)働きがい創造研究所設立。著書は『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)他多数。前川孝雄の「はたらく論」(ブログ)随時更新中! |