建前だらけの外国人技能実習制度を廃し、人材開国へ舵を切れ (後編)外国の若者も人間尊重の姿勢で愛情をもって育てる

コラム&インタビュー

必須となる人材開国

労働人口が減少するなか、AIやロボティクスの積極的活用も進んでいますが、外国からの働き手の協力で社会を支えていくことは不可欠でしょう。この国は、コラム前編で取り上げた外国人技能実習制度のような建前と本音を使い分ける施策は直ちに改め、本気で外国人材の受け入れ態勢を整えることが急務だと考えます。

これまでの日本は、優れた経営者、研究者、高度専門職などの超ハイパフォーマーのみ外国人材を受け入れていましたが、一般ワーカーとしては正面から門戸を開いてきませんでした。しかし、こうした人材鎖国状態を続けていては、日本はもはや世界から取り残され衰退の一途を辿るだけです。今こそ腹を括り、人材開国へとしっかりと舵を切り、包摂性のある国へと脱皮するべきではないでしょうか。

アジアの優秀な若者から選ばれる国に

昨年、私は技能実習生が急増しているベトナムに飛び、現地の日本人経営者や若者たちと接してきました。わかったことは、日本とベトナムの認識ギャップです。日本国内で報道される技能実習生の実状から高賃金の日本への憧れが強いと思いきや、ベトナムの若者の視界には働く場として、アメリカ、中国、韓国などがあり、日本は選択肢の一つにすぎませんでした。そして優秀なITエンジニアの卵であれば中国の深圳や、アメリカのグーグルやアップルで働くことを強く希望することを知りました。

こうした現実に接し、日本は世界第2位の経済大国で技術先進国であった過去の栄光に浸るのではなく、ベトナムをはじめアジアの優秀な若者たちから選ばれる国になる覚悟を持ち、外国人材受け入れを考えることが重要だと実感しました。