評価ではなくゴールセッティングとフィードバック。オープンコミュニケーションで、一人ひとりが才能を発揮できる/株式会社ユーザベースー後編

コラム&インタビュー

人材育成企業FeelWorks代表取締役の前川孝雄が、先進的な人材育成の取り組みをしている企業のトップと「これからの人材育成」をテーマに対談する本連載。第4回となる今回は、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」をはじめ、7つのグループ会社を擁し、急成長を続ける株式会社ユーザベースを訪問。同社の先進的な人材育成、組織運営に関して、カルチャーチームでHead of Culture&Talentを務める西野雄介氏、Learning&Development Managerの宮原詩織氏にお話を伺いました。

やりたいことがある人が集まるからモチベートの必要はない

前川:先ほどの「それぞれが才能を自由に発揮する」というお話は、まさに今注目されているティール型組織とイメージが重なりますが、世の多くの企業にとってはこれが非常に難しい。特に伝統ある大手企業では目指していても、なかなか実現しづらいものです。なぜ御社ではできるのでしょうか?

宮原:私も大手企業からの転職組なのですが、当社はやりたいことがある人が集まっているというのが根本にありますね。会社がモチベートしなければならない対象ではないんです。だから、私たちが気をつけなければいけないのはモチベーションを下げないようにすること。できるだけ自分の翼で羽ばたけるように、あまり縛らないように意識しています。

前川:そこで気になるのが、チームで大きな仕事をしていくときのマネジメント、リーダーシップの部分です。当然上から抑え付けるやり方はしないということですね。

西野:私たちのリーダーに最もフィットする方法がコーチングです。そこは各自現場で学ぶことを大切にしながら、会社としても研修などのバックアップは行っています。

宮原:実態として彼らの成長を支えているのが、先ほども言ったオープンコミュニケーションです。メンバー同士がタイムリーかつ圧倒的な量のフィードバックをするので、気づきの機会がそれだけ多くなる。それをSlackなどオープンな場所でやるので、周囲にも浸透していくんです。

前川:なるほど。ではスキルや最新技術などに関する教育はどうですか?

西野:そこは通り一遍の制度は設けていません。やりたければ自分でやるでしょうと考えています。学びたいことがあるなら、チームのリーダーにアピールしてチームのバジェットでやるというのがユーザベースでは当たり前なんです。ですから、制度がないからできないという言い訳ができない環境でもあります。

前川:人事制度などでルールを決めてああしろこうしろとは一切言わないと。そこは徹底していますね。

西野:だから、かつては「7つのルール」と言っていたものを「7つのバリュー」に変えたんです。

前川:確かに「ルール」だと締め付けている感じがしてしまいまいますね。ところで、そのように自由な環境だと大手企業から転職してきた人は、御社に入ってものすごく解放感を味わう一方で、会社の方針や上司からの指示がなく戸惑うんじゃないですか?

西野:それはありますね。最初はゼロベースで、自分で考えるということに慣れていないのでみんな苦しみます。それでも徐々に私たちの自由なカルチャーに慣れ、才能を発揮するようになりますね。