若手社員を「自燃」させ、早期育成・戦力化を目指す独自の育成施策とは?/サッポロホールディングス㈱-前編

コラム&インタビュー

若手社員の早期戦力化を目的とした「越境プロモータープログラム」

同社が若手社員の育成を重視するのには、従業員の年齢構成比に理由がある。サッポロホールディングスでは、入社5年目以下の従業員が全体の約15%を占めているという。多くの一般企業と同様、バブル期には新卒採用の門戸を広げていたが、バブル崩壊による不況の波を受け、当時は新卒採用数を大幅に縮小した。したがって、若手層とミドル・シニア層の比率が高い、二極化した年齢構成となっているのが現状だ。中堅と呼ばれる世代が少ないことから、次の管理職候補となる若手社員を、できるだけ早く育成していかなければならない。

そこで、サッポロホールディングスでは、若手社員の早期戦力化に向けて、様々な施策に取り組んでいる。その一つが、「越境プロモータープログラム」だ。

「越境プロモータープログラムは、2016年からサッポロビールで始まった公募型の本社体験プログラムです。地区本部・工場から公募で選ばれたリーダーとメンバーが『越境チーム』を組み、希望する本社部署の実務を3日間体験する。その後4か月間にわたり、本社部署が抱える課題を見出し、解決に向けた『越境提案』をしていくというプログラムになっています」

プログラムの名称にも含まれている「越境」というキーワードは、サッポログループの人事戦略の基本テーマ「越境せよ」にちなんでいる。「越境」とは、自分自身の中に無意識に作ってしまっているあらゆる壁を越えて行動を起こすこと。長く地区本部・工場で働いていると、本社との密なコミュニケーションをつい避けてしまったり、本社発信の施策・制度に対して消極的になってしまったりすることは珍しくない。それは、本社との距離を遠く感じ、無意識に心の壁を作ってしまっているために起こる弊害だ。しかし、プログラムを通じ、地区本部・工場で働く社員たちが本社メンバーと直接関わることで、少しずつその距離を縮め、自らの心の壁をも破っていくのだという。