なぜ、彼らは銀行を去ったのか?~実際に銀行を離職した若手社員の声から早期離職防止のヒントをつかむ~

コラム&インタビュー

「お客さまを喜ばせたい」との思いから、信用金庫へ入庫

一方、信用金庫を入社3年目で離職した川田彩氏(仮名)は、現在化粧品メーカーの販売職として働いている。川田氏は新卒時に女性総合職として採用された。もともと人と関わるのが好きで、「地域の方々を、金融サービスを通じて喜ばせたい」との思いから、信用金庫への就職を決めたと言う。

川田氏は、窓口の後方業務を1年ほど経験した後、窓口業務を任された。窓口では、入出金・諸届け・口座開設などの対応に加え、新商品やサービスなどの案内を行う。お客さまから直接感謝の言葉をもらえる機会も多く、有意義な日々を送れていたそうだ。しかし、それと同時に、もどかしさも感じるようになる。

「窓口でできることには限界があったんです。地元の中小企業の経営者の方々には、一人ずつ営業担当がつきます。当たり前ですが、営業担当のほうが窓口担当よりもお客さまとのつながりが強い。私がお客さまに役立ちそうな商品をご案内しても、『いつも良くしてもらっている営業の○○さんから購入するね』と線を引かれてしまうことが多かったんです。お客さまの力になりたくても、『窓口担当』の立場ではできることが限られていて、歯がゆい思いをしていました」