盛り上がる「休み方改革」気運への違和感

コラム&インタビュー

注目されるワーケーション

8月は、お盆や子どもの夏休みなどもあり、旅行や帰省などでリフレッシュされた方も多いことと思います。働き方改革の一環で「休み方改革」も注目されており、従業員の休暇取得促進を兼ね「ワーケーション」や「ブリージャー」というキーワードも上がってきています(日経新聞8月7日、同23日)。

ワーケーションはワークとバケーション、ブリージャーはビジネスとレジャーとを組み合わせた造語で、いずれも仕事や出張とリゾート地などでの休暇を組み合わせたもの。従業員がリフレッシュや観光を楽しめる旅先で、テレワークをしながらオフの時間はプライベートを充実させるもので、欧米で発祥したものだとか。企業の指定リゾートでの休養・レジャーと仕事との両立を支援するタイプや、出張先や旅先、お盆の帰省先などでの長期滞在と仕事との両立を支援するタイプなどがあり、社員や同行家族への旅費の補助を行う例もあります。北海道や沖縄県などで自然を満喫できたり、航空会社や旅行会社では海外旅行と組み合わせる取り組みも見られます。

有給休暇取得促進は企業の必須課題に

日本企業の従業員の有給休暇取得率はここ数年上昇傾向にあるものの世界的には最低水準との調査結果が示されており、働き方改革関連法でも、企業には従業員の有給取得強化が義務付けられました。また人材確保・定着化や労働生産性向上のためにも「休み方改革」が注目されているわけです。

ただ、個人的には政府や企業が個人の休み方にまで介入することに、違和感も感じています。働き方は個と組織が共に考えなければならない課題であるものの、休み方の中身、つまりどう休もうが個々人の自由だと思うからです。

また、このワーケーションの取り組みが、今後広く普及し定着するか否かは未知数です。一部のIT企業や大手の運輸・旅行関連会社の取り組みが中心で、今後他業界や中小企業などに広がるか否かは定かでありません。また、より本質的には、会社で顔を突き合わせること=仕事の成果とし、職場を離れにくいという職場風土や仕事観が根底にある限り、局所的な制度改善や取り組みだけでは「休みにくい」仕事文化を変えるのは難しいからです。

ちなみに7月下旬に来年の東京五輪に向けて都内でテレワークと時差出勤を一斉に実験するテレワーク・デイズが実施されました。しかし、政府や自治体の大規模な声かけにも関わらず、「集中参加日」であった7月24日の都内5区の出勤者は約4%減止まりとの結果でした(日経新聞7月28日)。職場を離れて仕事を進めるテレワークも、まだ多くの企業にとっては足踏み段階のようです。