なぜ、彼らは銀行を去ったのか?~実際に銀行を離職した若手社員の声から早期離職防止のヒントをつかむ~

コラム&インタビュー

銀行内での出世を「キャリアアップ」とする上司の考え方に違和感

「お客様のため」の仕事ができないやるせなさに加え、山本氏の早期離職を後押ししたのが、キャリアパスの不明瞭さだった。たとえば、入行5年目ともなれば、中小企業のお客さまに対する営業を一通り経験して、自然と「上場企業のお客さまも担当してみたい」と願う行員は増えてくる。しかし、地方銀行はメガバンクと比較すると、上場企業の営業を担当できる行員がかなり限られる。山本氏はさらなるキャリアアップを求め、退職を決意した。

「上司に離職を申し出たとき、『35歳までに支店長にしてやる』などと引き留めを受けましたが、仕事のやりがいやスキルの向上を求めていた自分には魅力的に感じられず…。改めて『銀行内での出世』を重視する上司との考え方のギャップを痛感しました」

山本氏が銀行を去ったとき、150名ほどいた同期は、気付けば100名程度になっていたと言う。現在、山本氏は人材サービス企業で若くしてチームリーダーを務め、いきいきと働いている。