残業少なく働きやすいのに、社員が暗い原因は社長にあった!? 本当の「働く女性の幸せ」実現ドキュメント/㈱ランクアップ-前編

コラム&インタビュー

研修で社員の不満が爆発!社長の猛省が会社を変えるきっかけに

その不満は、会社と社員の価値観の統一を図るための研修で一気に爆発する。「会社に貢献できることなんてない」「社長は私たちを認めてくれていない」という声が噴出し、岩崎社長はその場で社員に謝罪。それがきっかけで自身の本質的な誤りに気づいたという。

「私や日高はもともと挑戦することが大好きだったんですが、そんな思いも社員はまったく知りませんでした。なぜなら伝えていないから。コミュニケーションが決定的に不足していたんですね。だから、会社が暗いのは『社員にやる気がないからだ』と思い込んでいたんです。でも、悪いのは私だった。社員にはやる気があるのに、私がみんなの挑戦の芽を摘んでいたんです。この気づきからすべては始まりました。まず自分が変わることで会社を変えていこうと決意したんです」

岩崎社長が最初に起こしたアクションが「挑戦」という価値観の共有だ。今までも一方的に経営理念や行動規範を掲げてはきたが、このときは繰り返し、しつこいくらいに理由と背景を含めて社員にメッセージを発し続けた。そして、岩崎社長自身もこの価値観にコミットした。自らも新卒採用を始めるなど挑戦する姿を見せ続けることで、半年ほどの間に、最初は戸惑っていた社員の間にも変化の萌芽が生まれ始めたという。最初の成果の一つが、社員発案によるお客様向けイベントだ。

「結果は大成功でした。私がやるよりよっぽどよかったですね(笑)。『やればできる人たちばかりなんだ』ということにそのとき改めて気づきました。今は、社員が本気で提案してきたら、『じゃあ、やってみなよ』ということがほとんど。挑戦という価値観でつながることができたので、私も信頼して任せられるようになったんです。私が気にするのは予算のことだけ。ただ、もう社員もその点はわかっていて、費用対効果などしっかり説明できるよう準備してきますね」

社員の発案による新事業部も増えていった。広報部が生まれ、海外事業部や店舗販売事業部もスタート。1件につき500円を支給する改善提案制度や社内起業制度の導入などもあって、やりたいこと、言いたいことを積極的にアピールする前向きな空気が醸成され、一人ひとりが主体性を持って働く会社へと全体が変わり始めた。「価値観が完全に浸透するまでは、それでも2年程度はかかりましたね。大切なのは言い続けることです」。一人、また一人と挑戦する社員が生まれるなかで、組織の一体感も高まっていったという。

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