評価ではなくゴールセッティングとフィードバック。オープンコミュニケーションで、一人ひとりが才能を発揮できる/株式会社ユーザベースー前編

コラム&インタビュー

オープンコミュニケーションを繰り返すことでカルチャーの浸透を図る

前川:御社はカルチャーチームを設けていらっしゃいますが、一連の議論はカルチャーチームが中心となって進めるのですか?

西野:カルチャーチームと経営陣が一体となってという感じですね。当社では2週間に1回、経営陣が自分の話したいテーマについて話すタウンホールミーティングという全社参加のミーティングがあるんです。その中で、経営陣のメッセージを伝えつつ、みんなの声を吸い上げていきました。そのほか、各社の定例ミーティングにユーザベースの経営陣が参加して、質問があればすべて受け付け、オープンディスカッションで疑問や不安を解消していったんです。トータルで1カ月くらいかけてじっくり話し合いましたね。

前川:そこのコミュニケーションをしっかりと取ることは大事ですね。7つのバリューの一つ一つにしたって、例えば、「自由主義でいこう」をどう解釈するかは人によって違いがあるでしょうから。

宮原:そう思います。トップで決めて、下に落とす段階でメンバーの意見を聞いた感じにするというタクティクスはよくあると思うのですが、私たちは決める過程からオープンコミュニケーションを徹底しています。そこは戦略的というよりとにかく真摯に向き合うことを大事にしようと考えているんです。

前川:なるほど。グループ各社がどう一つになっているかはよくわかりました。一方で、個人という単位に落とすとどうでしょうか?御社のようにさまざまなバックボーンのスペシャリストが揃っていると、スペシャリストであるがゆえに全体やチームの方向性とコンフリクトが起きるということも一般論としては起こりがちだと思うのですが。

西野:当社は、まとめるとか、マネジメントするという概念があまりないんです。みんなにそれぞれの才能を最大限に活かしてもらうということだけを考えているので。創業以来の12年間を「カルチャー1.0」とすると、昨年末から新たなフェーズとして「カルチャー2.0」というものを掲げているんです。

そこで言っているのが、「才能が集まってくる。集まってきた才能が最大限発揮される。発揮された才能が同じ方向を向く」ということなんです。優秀な人の下には優秀な人が集まって来ますから、このサイクルが自走する状態をいかに創り出すかということだけをカルチャーチームは考えています。

前川:なるほど、締め付けることはせず、自由にやってもらうと。

西野:それでまったく問題がないかというと、もちろんあります。メンバーによっては、自由に動きすぎて働き過ぎてしまう可能性がある。そこに関しては、法律は守ろうということを丁寧にコミュニケーションしています。例えば、そういう状況になりそうなときは、予算を多少超えてでも採用する人数を増やすといったことも含めて検討します。