早期退職で失敗する人とは? ~「定年=リタイア」ではない時代に、50歳から生き生きと働き続けるために~(後編)

コラム&インタビュー

《その⑦》社名や肩書きにこだわる人

大企業で管理職を務めてきたミドルには、それなりの自負心があり、なかには社名や肩書に必要以上のプライドを持つ人もいます。関連会社に出向するにも、元の会社より高い役職でなければとか、いままでと同格の大企業で同格の役職でなければなどのこだわりが強いと、希望に沿わなかった場合や中小企業で働くようになった場合など、都落ちした感覚に囚われ落ち込んでしまいます。そうなると新しい職場で浮いてしまい、ますます新たに前向きなキャリアを切り拓いていくモチベーションも維持できなくなるでしょう。

第二、第三のキャリアで問われてくるのは、かつての社名や肩書ではなく、その会社・ポジションで何をやってきたか、それを糧にしてこれから何ができるかなのです。社名や肩書にこだわる人は、社内外での人間関係やコミュニケーションにおいて権威主義的な場合が多く、組織を離れてしまうと人脈が一気に切れてしまいがちです。退職後も公私ともによい人間関係を続けていくには、日常的に人と人としての丁寧な信頼関係を築いておくことが大切です。社名や肩書にこだわる意識をリセットして、人とのコミュニケーションのあり方を見直すことは在職中からもできるはずです。それができるまでは、辞めてはいけません。

…いかがでしょうか。あなた自身やあなたの上司や同僚は、「早期退職して失敗する人」ではありませんか?もしそうならば、今からでも遅くはありません。現在の会社での仕事を通して、キャリア自律への取り組みを一歩ずつ進めていきましょう。

拙著『50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタリア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方』(2019年11月19日発行、PHP研究所)では、ミドルがキャリア自律に自ら取り組むために、上記の辞めてはいけない7つのタイプの詳述をはじめ、「お金、肩書き」から「働きがい」へとキャリアの軸を移すための心構え、また自分の会社を「学び直しの宝庫」としていかに活用していくかを具体的に提案します。そして、50歳からの働き方を変えていく内省のための「7つの質問」を投げかけ、逆転キャリア戦略を立案するためのワークシートも提供しています。50歳からの20年30年を生き生きと働き抜くキャリアのために、ぜひ参考にしてください。

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