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新卒一括採用から通年採用へ移行する先にあるもの 後編:魅力ある経営理念・ビジョンと人材育成方針を持つ企業が選ばれる/編集長・前川孝雄の「人が育つ現場論」

実社会、働く現場へ繋がるストーリーが求められる

その意味では、一方で企業側が「大学は教養一辺倒の教育になってはいないか」という懸念にも一理あります。企業側からすると、大学の教育内容は世の中や企業現場の変化からあまりにも乖離しているのです。シビアに言えば、「教養のみを研究する教員が、教養だけを教えることで、座学に終わっている」傾向があり、それでは学生にとっても無為な時間にすぎなくなるかもしれません。

私は大学の正規課程でキャリアデザイン論を担当し10年近くになります。折に触れキャリアや組織論など理論は教えますが、重視しているのは学生による社会人へのインタビューと、それをもとにしたディスカッションです。学生が実際の企業現場で働く人を訪ね、日々どのような課題に取り組み問題解決を行っているのか、どんな希望を持って働いているのかを聴き取ります。また、勉強や部活動・留学・アルバイトなど自身のこれまでの人生なかでシンクロする経験がないかも棚卸しします。それらを持ち寄り、侃侃諤諤ディスカッションを行い、自分達の将来についても思いを巡らせさせるのです。そうすることで、「キャリア」や「働きがい」とは何かといったことをリアルにイメージできるようになります。こうした学生生活と実社会・働く現場をストーリーでつなぐ授業は、履修学生から断トツの好評を得ています。

教養と実践の「2階建て教育」から、「働く」と「学ぶ」を気軽に行き来する時代へ

長年企業内人材育成と大学教育双方に携わっていると、大学教育と働く現場やキャリアといったことが、あまりにも分断されているように感じます。学生も社会人も、もっと互いの立場を気軽に行き来するべきではないかと思います。

大学の前半の2~3年間はじっくりと教養の幅や深みを増す学習の期間に充て、後半の1~2年間や大学院では即戦力型の専門教育や応用実践教育を行うといった2階建て教育を強化するだけでは不十分です。特に後半の専門教育で身につけた即戦力部分は実践できてもすぐに陳腐化します。故に、何度も大学や大学院で学び直してメンテナンスをしていくのです。数か月間などの科目履修でも十分かもしれませんし、週末や夜間に学べる環境はもっと広がるべきでしょう。

そのためにも、大学や大学院でのリカレント教育の拡充はもっとスピードをあげるべきです。日々の多忙な仕事の中では、自分の仕事の位置を俯瞰して見たり体系的に見直していくことはなかなか困難です。ですから、「リフレクション教育」(振り返りと内省を促す教育)としても重要な意味を持つはずです。

こうした「働く」と「学ぶ」が気軽に行き来できる構造を作るためには、産学協同のあり方や、働く現場に精通した教員の養成、また現場の第一線の働き手やリーダーの教員への登用などを進めることが必要です。

通年採用化への変化の潮流をどう捉えるか

少し拡散しすぎました。本コラムの問題意識に話を戻しましょう。通年採用化に向けた問題の本質は、採用時期の話ではありません。日本型雇用の大きな転換期ととらえるべきです。結論から言うと、この時代の表層的な変化に翻弄されずに、日本企業ならではの強みを活かし、ポテンシャル人材を獲得しようとする企業にとって、この変化は実は大きなチャンスとも考えられるのです。

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