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「働きやすさ整備」で離職率4%以下に。でも目指すは「心の余白」づくり。本気でぶつかり合う風土を醸成する社長自らの実践とは/トップと語るこれからの人材育成:さくらインターネット(株)代表取締役社長 田中 邦裕氏-後編

業務効率化・生産性向上の気運が高まり、働く人たちの多様化も進む現在。急速に変化する社会環境のなか、企業ではどのように人を育てていくべきなのでしょうか?本連載では、人材育成企業FeelWorks代表取締役の前川孝雄が、先進的な人材育成の取り組みをしている企業のトップと「これからの人材育成」をテーマに対談していきます。第1回となる今回は、2016年に「さぶりこ」のコンセプトとした独自の制度を導入して話題になった、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長の田中邦裕さんにお話をお聞きしました。

社長自身が「余白」をもつために、1カ月の休暇を取得

田中 それ以外に心がけていることが、自分自身が「余白をもつ」ということですね。「もっと早く帰れ」と言いながら社長が徹夜をしていたら説得力がないですから(笑)。だから、2年ほど前に1カ月間の休暇を取ったんです。この2月にも2週間休みをもらってメキシコに行ったんですよ。

前川 「さぶりこ」に関しても、社長自身が率先して実践しているわけですね。でも、社長が長期間不在にすると会社は大変ではなかったですか?

田中 ちょっとそういうことも期待していたんですが(笑)、結局、何も問題は起こりませんでした。経営者も管理職も、自分の存在が不要になることが怖いんですよね。だから、いつの間にかそこにいること自体に価値を感じてしまっている。私もそうでした。そういうところをいかに断っていくかというのも大切なことですね。

前川 社長がしっかりと休むようになって、会社に変化はありましたか?

田中 売上げが伸びましたね。それも、私が知らない売上げが増えてきたんです。それ自体はいいことなんですが、ただ、やっぱりすべてはうまくいきません。

前川 何か問題が生じたのですか?

田中 任せている分、ムダが生まれて放置されてしまうことが多くなりました。「余白」は必要なんですが、「ムダ」はよくない。利益の低下にもつながってしまいます。我々は、今、売上げが上がる一方で利益が下がるという状況にリアルに直面しているんです。

前川 「余白」と「ムダ」はどう違うんでしょうか?

田中 「余白」はチャンスやインパクトを生むために必要なもの。「ムダ」はどちらも生み出さないものです。例えば、使うあてもなくなんとなく購入して放置されている機材もそうですし、一人の人が同じ業務にいつまでも従事していて成長しないこともムダといえます。結局、先ほどの話とつながるんです。本気で話し合わず、なんとなくやっているとムダが生まれてしまいやすい。

前川 よくわかります。ただ、組織が成長し大きくなってくると目につきにくい問題点に気づくことがより難しくなってきますよね。田中社長自身は創業経営者として修羅場もくぐられてきているから、そういった「危機感のセンサー」が働きやすいと思うのですが、その意識が、例えば、役員、幹部、現場の管理職に伝わっている感覚はありますか?

田中 メッセージを繰り返し伝えることで、経営陣とはかなり意識が共有できています。以前は「どんどん採用して、どんどん投資をして、どんどん働きやすさが高まっていけば業績も上がる」というメッセージを中心に伝えていたんですが、最近はそれに加えて「みんなが働きがいを感じるとか、お客様が本当に満足して成功するとか、そういう因子が非常に大事だ」ということを話すようにしています。

前川 単に自社の業績向上を目指すだけではなく、従業員の成功、顧客の成功こそが経営上の目標になったということですね。役員や幹部もそのようなビジョンの変化をしっかり共有して、社長と同じ視点、あるいは近い視点で組織の状態を見ることができれば、よりセンサーは働きますね。ところで、田中社長が、従業員の成功、顧客の成功を重視するようになったきっかけは何なのですか?

田中 原丈人さん提唱する「公益資本主義」に大きく影響を受けました。2014年1月にサイボウズの青野慶久社長が開催した会合で実際にお会いして、お話を聞いて、そこからです。私たちは、さくらインターネットを5年後、10年後に大きな会社に成長させたいという思いが強いですし、みんなが楽しく仕事をしたいっていうのもあったので、社員、お客様、社会、加えて株主、すべてが幸せになるなかで、資本主義は大きく成長するという原さんの考え方には非常にインパクトがありました。

前川 短期的な利益にこだわるのではなく、公益資本主義に基づく長期的な視点で会社を成長させていこうという考え方になったのですね。常に学び、まず社長自身が変化するというところがさくらインターネットの強みですね。

田中 そこからいろいろな取り組みをしてきましたが、当社がすごくおもしろいのは、うまくいっていることとうまくいっていないことが両方わかりやすく存在していることです。

前川 両方をオープンに語っていらっしゃいますよね。ガラス張りというか。

田中 問題点をいろいろな人に話すことで、解決策につながるアイデアが得られることもありますから。一人で抱えていても深刻になるだけで解決にはつながりません。

 

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