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「働きやすさ整備」で離職率4%以下に。でも目指すは「心の余白」づくり。本気でぶつかり合う風土を醸成する社長自らの実践とは/トップと語るこれからの人材育成:さくらインターネット(株)代表取締役社長 田中 邦裕氏-前編

お互いが本気でぶつかり合える環境を作っていきたい

前川 さきほどおっしゃった「心の余白」は、周りもケアできるようになりますし、チームとして「働きがい」を高めるために非常に重要な要素の一つだと思いますが、それ以外には、「働きがい」醸成のために大切にしていることはありますか?

田中 お互いに本気でぶつかり合うことです。私自身も基本的に人に強く言えない性格なんですが(苦笑)、チーム内でお互いに遠慮をして言いたいことを言えないでいるとよくないですよね。結局なんとなくで、誰も望んでいない結果になってしまう。チームの目標にしても、仕事のやり方にしても、一人ひとりが「自分が思っているのと実は違うんだけどな」と思いながら働いていると、チームの「働きがい」は高まりません。

そのためには、安心して自分の意見を言える環境が作られないといけません。そういう環境で厳しいことをちゃんと言い合うことで、いろいろなチャレンジができるようになり、「働きがい」も伸びていくんだと思います。

前川 まったくその通りだと思うんですが、最近は、いろいろな企業を見ていて、なかなか本気でぶつかるということが難しくなってきているとも感じています。それこそ働き方改革で生産性向上が求められ、ちょっとした雑談含め短期成果につながりにくいコミュニケーションの場がどんどん割愛されています。また、各種のハラスメント問題がクローズアップされるなかで、ちょっと強く言うと言葉尻だけとらえられて揉めてしまうケースなども増えています。

田中 言い方やシチュエーションが大事ですよね。いちばん悪いのは、相手が精神的にダメージを負うような言い方、シチュエーションできついことを言ってしまうこと。その次に悪いのは、何も言わないこと。いちばんいいのは、言い方とシチュエーションに気をつけながら、ちゃんと厳しいことを相手に届けるということです。そのときに心がけたいのが、みんなが機嫌よくいることです。機嫌よく相手を肯定的にとらえることができていれば、厳しい言葉も前向きに受け取ることができるはずですから。

前川 そのようなコミュニケーションを社内に浸透させるためには何が必要だとお考えですか?

田中 お互いに丁寧に話せる環境を作らないといけないと思っています。そのために重要なのはまず経営者が行動することです。「コミュニケーションが大事だ」と言う経営者は多いですが、自分がしてないんですよね。私自身も役員との時間を取れていたのかというと、そうではなかった。人を変えるには、まず自分を変えないといけません。ですから、以前は定例でいろいろな会議に出ていたんですが、最近はそれをやめて、その分1 on 1で役員・幹部と向き合う時間を作り、業務以外の話をするようにしたんです。役員・幹部も同じようにその下のレイヤーで丁寧に話をし、さらにその下のレイヤーでも……、と1 on 1の対話広げていくことで、会社全体がよくなっていくのではないかと考えています。

前川 それはすばらしいですね。その1 on 1の対話はどのくらいの人数と、どのくらいの頻度でやっているんですか?

田中 1人1回30分程度で、月に40回くらいです。誰といつ話をするかは、私から声をかけたり、本人が希望したり、周りが勧めたりとケースバイケースです。状況に応じて、毎週話をする人もいれば、月に1回という人もいます。最近は現場の管理職とも話をする機会を設けるようにしています。コーチングというほど本格的なものではなく、「相手のために時間を取る」という姿勢でやっています。ですから、雑談も含めていろいろな話をしますが、例えば、その中で「チームのマネジメントについて相談できる人が周囲にいない」といった悩みが出てくることもあります。

前川 丁寧な対話の場が、「働きがい」醸成につながるチームの改善点を見つけ出す機会にもなっているわけですね。

さくらインターネット株式会社
1996年、現社長の田中邦裕氏が創業。本社は大阪府大阪市。ほかに東京、北海道、福岡に拠点をもつ。社員数は連結 563名 (2018年3月末)。石狩データセンターをはじめ、自社で大規模なインフラを保有し、ホスティングサーバを中心とするデータセンター事業やインターネットサービス事業に取り組む。2005年に東証マザーズ上場、2015年に上場市場を東証一部に変更。2016年に、働き方改革推進のため、「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creationの頭文字が由来)」と総称する、勤務時間の短縮、有給休暇の倍増、1日単位から利用できるテレワーク制度、パラレルキャリアの支援などの独自制度を導入。2018年からは、東京勤務の社員を対象に、他拠点への自由な転勤を認める「さぶりこ Xターン」を開始。

構成/伊藤敬太郎

後編に続く

 

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