残業少なく働きやすいのに、社員が暗い原因は社長にあった!? 本当の「働く女性の幸せ」実現ドキュメント/㈱ランクアップ-後編

コラム&インタビュー

「社員が成長できること」こそがランクアップの経営の軸

やりたいことに挑戦することができる風土と環境。これが整えば社員のモチベーションは高まるが、そのマイナス要因も当然想定しなければならない。常識的に考えれば必然的に仕事量は増え、労働時間が長くなる。昼も夜もなく働き続けた広告代理店の営業職だった時代、岩崎社長はまさにそこに不安を抱いたという。「自分が会社を作るなら、社員が長くイキイキと働き続けられる会社にしたい」という思いは創業以前からあったのだ。

そこで、話は冒頭で触れた「ほとんどの社員が17時に帰る」というトピックに戻る。

「長時間労働をせずに『挑戦』を続けてもらうためには、仕事に優先順位をつけて、その社員の一番重要なミッションに注力してもらうことが必要だと考えました。無駄な仕事をやっていないか見直せば労働時間は短縮できますし、その人でなくてもできる仕事はアウトソーシングしたり、システム化したりすればいいんですから」(岩崎社長)

ただし、ワークライフバランスより仕事を覚えることを優先すべき新入社員には残業を認めるなど、社員の成長ステージごとの働き方への配慮もなされている。こうした結果、岩崎社長がかつて思い描いていた理想の会社が、現実のものになっている。2012年までの「暗黒時代」には、業績は伸びていても外で会社の自慢をする気にはとてもなれなかったというが、今は自信を持って、「社員が成長できること、それがランクアップの経営の軸なんです」と言い切ることができる。

同時に、当然ながら、岩崎社長の目は未来のランクアップにも向いている。前述の転換期にスタートした新卒採用は、今年の内定者で5期目。当初は女性3人ずつの採用を続けてきたが、2017年度入社から男女2名ずつを採用している。彼ら彼女らに岩崎社長が期待するのは、将来の経営幹部候補になることだ。

「単に化粧品の仕事をしたいという人は採用していません。当社は、今後『女性が幸せに生きる社会』を作るために、化粧品だけでなく、育児・介護・教育など幅広い分野の事業に進出していきたいと考えています。新卒採用した子たちには、その事業部長に、うまくいけばグループ会社の社長になってもらいたいと思っていますし、そう伝えています」

意欲の高い新人が加入したことは、先輩たちの「負けていられない!」という気持ちを掻き立て、組織の活性化にも繋がっているという。売上高だけでなく、人も右肩上がりに成長を続け、それによって会社もまた成長する──。人が育つ会社の可能性は無限大だ。そのことを今後もランクアップが証明し続けてくれるだろう。

▶前編はこちら